フジ住宅東証18860

 

 

 

 

【ポイント】

大阪府南部を中心に、戸建分譲と中古住宅販売を中心に展開。本年31日付けで、東証・大証一部に指定替えとなった。

主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等で顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」が好評、中古住宅のリフォーム販売も競合が少なく拡大中。これまで営業エリアの拡大を急がず大阪南部を中心に地域密着営業に取り組んできたが、今後は住宅価格が高い(=収益性も高い)大阪北部から兵庫県南部にかけての営業を強化する考え。今期からスタートした中期経営計画では、最終の08/3期に連結売上高600億円(05/3期比36.5%増)、経常利益46億円(同64.3%増)を目指す。

今期の1株当たりの配当は、中間11円(指定替えに伴う記念配5円を含む)、期末6円の合計17円を予定。年ベースでの配当利回りは2.6%を超える。来期以降も業績に見合った配当で、株主還元を実施していく考え。9月中間期末に向けて、配当狙いの売買が活発化してくるものと思われる。

 

 

 

1.「分譲住宅ながら自由設計」で差別化

1973年1月、今井社長が個人で創業し、不動産業を開始した。翌年、フジ住宅株式会社として、再スタート、90年に大証2部に上場した。

事業構成は、不動産販売事業、土地有効活用事業(賃貸マンション等の請負工事)、賃貸及び管理事業、その他事業(不動産仲介等)に分かれる。これまで営業エリアの拡大を急がず、大阪南部を中心に地域密着営業に取り組んできたため、地元企業や地域金融機関と太いパイプを持つ。この情報網が、土地の仕入や販売に生かされており、特に、土地有効活用事業はこの情報網に頼るところが大きい。

 

売上高全体の77.9%を占める不動産販売事業は、戸建住宅、分譲マンション、中古住宅等、定期借地権付分譲住宅、不動産投資ファンド向け賃貸マンションに分かれる。

戸建分譲は、50〜200区画規模の開発を行い、街並みの統一性を重視。分譲ながら間取りや設備仕様等で顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」で差別化を図っている。もう一つの特徴は、中古の土地付建物を地元工務店などから買い取り、表面的なリフォームではなく水周りや耐震補強等を加えて再販売する(商品名「改造くん」)事業である。「自由設計方式」もそうだが、手がかかるため、この種のビジネスを好む業者は少ない。

不動産ファンド向け賃貸マンションは、前05/3期に初めて売上を計上。土地有効活用事業で培ったノウハウを生かした事業である。

 

 

 

2.戸建住宅及び中古住宅等を核に、不動産ファンド向け事業を強化

当面の目標であった東証・大証市場第一部指定を果たしたことを機に更なる経営基盤の強化と業容の拡大を図るべく、3ヵ年(06/3期〜08/3期)の中期経営計画を策定した。この中期経営計画では、各事業年度で最高益を更新し、最終の08/3期に連結売上高600億円(05/3期比36.5%増)、経常利益46億円(同64.3%増)を目指している。

 

(1)不動産販売事業

@戸建住宅

従来の大阪府南部地域に加え、大阪府北部地域で仕入れ及び販売を強化すると共に、兵庫県南部地域へ本格的に進出し分譲を開始する。100uの土地付建物の相場は、大阪府南部では1,800万円程度だが、本社のある岸和田市内では3,000万円、堺市では3,500万円、更に大阪市内では4,500万円に上昇する。1棟売る手間は変わらない一方で、販売単価が上昇するため、収益性が高まる見込み。「自由設計方式」を全面に出すことでパワービルダー(低価格の建売を得意とする地域の有力工務店等)等との差別化を図る。

一方、分譲マンションの供給計画はない。理由は、大阪市内を中心とする分譲マンションが供給過剰傾向にある中で、地価及び建築コストが上昇しているため適正利潤の確保ができないと考えているから。ちなみに分譲マンション用地は04/3期以降仕入れを行っていない。

 

 

A中古住宅等

中古住宅再生事業は、最も成長性のある重要事業と位置付けている。これまで大阪府南部地域に限定していたが、より市場規模の大きい大阪府北部地域に段階的に進出し、この地域で大阪府南部地域以上の事業規模を目指す。交差点単位での地域情報とその分析による物件の鑑定力、及び仕入れ・販売価格の査定の速度と正確性、更にはリフォームのマニュアル化により、他社との差別化を図る。

この一環として、今期は堺市に進出。事業の成功には、立地と価格設定がポイントとなるため、土地勘と相場観を持った人材育成が不可欠。3年間をかけて市場深耕を図る考え。

 

 

B不動産投資ファンド等向け賃貸マンション

情報網やノウハウを生かす事のできる既存の営業エリアに絞って事業展開。仕入競争の激化から、不動産ファンドの購入対象は同社が地盤とする大阪南部等の郊外にも広がりを見せている。一方、家賃相場や地域特性など物件の収益性を見極めるうえで必要になる情報やノウハウ、更には資金力(開発力)を兼ね備えた不動産業者がこの地域には少なく、目立った競合が存在しない。

前期に前倒しで引渡しを済ませたため今期の売上計画はないが、3棟を手がけたことで不動産投資ファンド等向け賃貸マンションの開発・販売ノウハウを取得、事業拡大の目処が立った。また、同様のビジネスモデルで個人富裕層に向けた小型の賃貸マンションの開発・販売も手がけ、08/3期には不動産ファンド向けで50億円、個人富裕層向けで24億円、合わせて74億円の売上高を目指す。

 

 

(2)土地有効活用事業

従来通り銀行ルートでの提案営業を活動の中心とし、主力商品の「フジパレス」シリーズに、低コストのRC造マンション「F・コンスパイヤー」を新シリーズとして加える。また、分譲住宅部門と並行して営業地域を拡大し、より需要の多い地域へ進出する考え。

 

 

(3)賃貸及び管理事業

2005年6月に設立した100%出資子会社フジ・アメニティサービス鰍ノ、当事業を譲渡(9月)する計画。不動産投資ファンド等向け賃貸マンション販売後の管理業務の受注に努める。

 

 

 

3.2.6%を超える配当利回りに魅力

(1)05/3期

連結売上高は前期比27.8%増の439.5億円、経常利益同48.0%増の27.9億円、当期利益同142.8%増の16.6億円、EPS103.7円となった。

主力の分譲住宅事業を中心に各事業が順調に拡大。販売好調で販売促進費の負担も軽く、営業利益は57.7%増加した。中古住宅等は、通常リフォームした土地付建物の販売金額合計だが、当期は土地のみの売上高が含まれている。中古住宅事業の一環で取得した土地の一部を、近隣地権者(病院)の要望により19億円弱で売却した。

 

 

(2)06/3期

8月1日に発表された第1四半期決算は、連結売上高が前期比79.7%増の78億円、経常利益0.8億円(前年月は6.2億円の損失)、当期損失5.1億円となった。最終損失となったのは、賃貸及び管理事業の営業譲渡に伴う損失及び減損会計の適用に伴う損失(合計933百万円)を特別損失に計上したため。減損会計の導入に伴い、従来の処理方法が認められなくなったため、子会社設立と事業譲渡といった処理をする必要が生じた。

 

通期では、連結売上高前期比0.1%増の440億円、経常利益同17.9%増の33億円、当期利益同19.7%減の増の13.3億円、EPS40.7円を計画。

 

不動産ファンド向けで、今期売上を予定した一部の物件が前期に前倒しされた事、及び前期の中古住宅等の売上高が土地の売却でかさ上げされた事から、今期は微増収にとどまる。

一方利益面では、営業エリア拡大効果で収益性が向上、営業外損益の改善も見込まれる。

特別損失1,040百万円の内訳は、譲渡損失715百万円及び固定資産の減損損失等325百万円。