サンシティ(東証2部:8910)

【ポイント】
仙台市に本社を置くマンション・デベロッパー。主力ブランドは、ファミリータイプの分譲マンション「サンデュエルシリーズ」とワンルームタイプの分譲マンション「アヴァンツァーレシリーズ」。
東北でのマンション分譲と言えば仙台での分譲を意味した当時、競争の激しい仙台を避けて、その周辺都市へ展開し差別化を図った。岩手、秋田、山形の東北3県におけるマンション分譲ではパイオニア的存在であり、東北6県でのシェアは40%程度と推定される。
現在、08/12期に売上高488億円、経常利益51億円弱を目指す5カ年計画を推進中だが、9月1日に開催された中間決算説明会において、小出社長はこの計画が2年前倒しで来期に達成される可能性がある事を示唆した。不動産セクターの物色一巡と転換社債型新株予約権付社債発行(注)を嫌気して売られた株価も出直り歩調にある。
1.仙台除く東北6県に展開
1992年2月に(株)サンシティ住宅販売として設立され、新築マンションの企画・販売を開始した。設立当初は他社物件の販売代理がもっぱらであったが、95年6月に自社開発物件第1号の「サンシティ森林公園」(仙台市青葉区)を企画・販売。以後、自社開発物件の分譲事業にシフト、2004/12期以降は全物件が自社開発。01年10月に社名を現在のサンシティに変更、02年12月のジャスダック上場を経て、04年9月東証2部に上場した。
東北6県の年間マンション販売戸数は4000戸前後。仙台の物件が50%強(仙台周辺も含めると60%程度)を占め、残りは同社が得意とする東北3県が大半。大手マンション・デベロッパーでは、穴吹工務店、大和ハウス工業、大京、住友不動産等が積極的に展開しているが、もっぱら仙台中心の展開で競合するケースはほとんどない。
事業は、不動産販売事業と不動産賃貸等のその他事業に分かれ、前者が売上高全体の98.7%を占める。前者は更に分譲マンション事業と今期から売上が計上されるSUNRISE事業・不動産流動化事業に分かれる。SUNRISE とは、Sun city Rental -apartment,Investment & Services の略称で、賃貸マンションへの投資及び関連サービスの提供を意味する。具体的には、賃貸マンションや商業施設等の企画・開発・販売や販売した物件の賃貸管理、及び中古オフィスビル等の再生。足下、J-REIT(不動産投資信託)や不動産ファンド向けの開発・販売が好調で、介護保険付き有料老人ホーム(老健施設事業)の開発にも着手した。
2.前倒し達成が見えてきた第1次5カ年計画
(1)分譲マンション事業
同社の事業展開を考える場合、「なぜ地価の安い東北6県でマンションなのか」という疑問が浮かぶ。常識的には戸建なのだが、過去5年間で同社の売上高は7.5倍に拡大している。
事業成功の大きな要因として、公庫融資の対象地域拡大を挙げることができる。具体的には、それまで東北では仙台など一部地域に限られていた住宅公庫融資が、00年4月以降、東北全県に広がった。
しかし、それだけではない。東北6県では、都内などのように敷地面積が20〜30坪の戸建住宅の開発はほとんどなく、通常、60〜80坪の広さで、建物は雪や寒さ対策が施されているから3000万円以上の価格になる。しかし、収入の水準が都内ほど高くはないこともあるが、それ程の居住スペースを必要としない世帯、つまり独身者やDINKS(夫婦共働き子供なし)等は、こうした戸建に魅力を感じない。
これに対して、同社が開発するファミリータイプのマンションは、3LDKで1600〜1800万円程度。頭金2割で、月々3〜4万円、ボーナス時20万円返済の楽々ローンが組める。つまり、月々の支払い(返済)が借りるよりも安いわけだ。しかも、関東自動車の工場がある岩手県北上や富士重工の工場がある群馬県太田等、大手企業の工場がある地域においてブルーワーカーを対象にする等、物件毎のターゲットも明確。北上も太田も成功裏に終わったが、それまではマンションとは縁がなかった地域である。また、マンションは雪下ろしの必要がなく防犯上も優れているため、シルバー層にも人気があるようだ。
(2)SUNRISE事業・不動産流動化事業
分譲マンション事業と共に中期成長を担うべく期待がかかるのがSUNRISE事業・不動産流動化事業である。
J-REITや不動産ファンドの活況は今更説明するまでもないが、都内では地価上昇により、投資利回りが4〜5%程度に低下してしまった。このため地方へと目が行くわけだが、未だに地価が弱含み(仙台の一部が、東北楽天イーグルスの誕生で上昇したが)の東北では、9%程度の利回りが確保できる。
ちなみに当事業で開発した賃貸マンションは、長期的な安定収益を望む投資家(個人・法人)に一棟売りされるためオーダーメードに近く、先ず販売先ありき。販売先顧客の要望に応じた物件開発(例えば、立地やグレードを抑えて利回りを高める等)がなされる。むやみに賃貸用物件を建てて、売ろうと言うものではない。
(3)前倒しで進む5カ年計画
08/12期に売上高488億円、経常利益51億円弱を目指す5カ年計画では、今05/12期は売上高267億円、経常利益20億円の計画であったが、それぞれ291億円と22億円に上方修正した。
しかし上方修正された計画には、エルシーピー・リート・アドバイザーズ(株)との間で基本契約に達した、仙台市青葉区の複合商業施設の売上高が織り込まれていない。大規模小売店舗法の認可待ち等の理由で販売額が正式に確定していないためだが(基本合意の段階では47億円程度)、10月末頃には正式な契約が結ばれる予定。この物件の売上高が加算されると、今期中に06/12期の計画を達成してしまう可能性が高い。
更に、6月には介護保険付き有料老人ホーム(老健施設事業)2施設の開発に着手したほか、7月には中古オフィスビル2棟を合計18億円で購入した。オフィスビルは、デューデリジェンスに基づきバリューアップを施し売却する計画。それぞれ、来期売上計上される見通しで、老人ホームは2棟で20億円程度が見込まれている。
また、来期1200戸の販売を計画している分譲マンションは、既に1156戸の仕入が完了。賃貸マンションは16棟(1棟5億円程度で売却予定)が仕込みを終えている。このため、来期に08/12期の計画を達成してしまう可能性がある。
3.上振れの余地残す今期計画
(1)05/12期中間決算
売上高は前年同期比59.2%増の113.8億円、経常利益同3倍の3.2億円、当期利益同2.9倍の1.9億円となった。
マンション建設に適した用地取得が順調に進み青田売りの分譲マンション事業が堅調に推移、前期より着手したSUNRISE事業・不動産流動化事業では、5棟の引渡しが完了し、収益に貢献した。
(2)05/12期通期
売上高は前期比34.8%増の291億円、経常利益同31.3%増の22億円、当期利益同30.9%増の12.4億円、EPS 7116円を計画している。
(注)転換社債型新株予約権付社債発行の発行
5カ年計画が前倒しで進むなど事業の急拡大に伴い、新たな資金調達の必要が出てきた。また、「地価が安いうちに、仕入を増やしておこう」と言う考えもある。このため、8月26日に野村證券を引き受け先とした第三者割当により、転換社債型新株予約権付社債45億円の発行を行った。当初の転換価格は133,000円だが、毎月第3金曜日(決定日)に修正される。修正価格は、決定日までの3連続取引日の東証終値の平均値の90%に相当する金額(100円未満切り捨て)。
